いやー、うっかりしている間に年が変わってました! (超いまさら!)
っていうか、もう春も過ぎて夏ですね。ちょっと気取ってみるどころでもありませんが。
もはや書いている本人ですら、思い出した時にたまに見に来るくらいの当サイトですが、いつの間にか、「ペニス彫刻」とかのキーワードで検索してくる方が増え、すっかり男根ブログとしての地位を確立したようです。 これはやっぱりめでたいのかしら。
さて、あんまり内容が男性器だらけだと、当初の目的である「エロス 」の追求がおろそかになってしまうかと思うので、今回はきわどい女性器の描写を投入することにします。
ああ、そうさ。 女性器って言ったさ。
えー! とお思いのみなさま、センターフォールド美術系は(一応)アダルトブログではございませんのでご安心を! 勃っちゃうようなのは一切出てきません。
だって、こんなんだから
無題#250(1992) あっはん・うっふん的なポーズなのに、エロどころか戦慄さえ覚える。ちなみに股間にぶっ刺さってるのはソーセージ。 |
ページを戻ろうとした人、ちょおっと待ったー! びっくりさせてごめん、大丈夫だから読み進んでー!!
これは今年2月からニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催されていた
アメリカの女性写真家、シンディ・シャーマンの回顧展に出展された作品の一部です。
シンディ・シャーマンはニューヨークで活躍中の写真家で、21世紀アメリカで最も重要なアーティストの1人だと言われています。
彼女の作品は、自分自身が演じる「キャラクター」を被写体とした写真シリーズで、メイク、衣装、さまざまな小道具を多用して、本人とは全く異なる女性になりきったポートレートなど。
そのシャーマンが一時期作成していたのが、この「セックス・ピクチャーズ」と呼ばれる作品たち。自分自身がモデルになっていないと言う点では、ちょっと他の作品とは違うのです。
事の発端は1989年、アメリカ保守派の政治家達が、ロバート・メイプルソープやアンドレアス・セラーノなどの前衛的なアーティスト達が発表していた作品を問題視し、そんな芸術家に補助金を出していたNEA(芸術家や芸術団体に助成金を出すアメリカ連邦政府の組織)を猛烈に批判したところから始まります。
NEA側も、助成金を交付したアーティストの芸術的な選択について関わることはできないと反論はしたのですが、とにかく非難ごうごうの大問題に発展し、メイプルソープの展覧会を予定していた美術館が展覧会自体をキャンセルする始末に。(それはそれで、なんでキャンセルすんだと美術界からは非難された。)
結局、翌年1990年にアメリカ政府は「サド・マゾヒティズム、ホモ・エロティシズム、子どもを性的に利用したもの、文学的、芸術的、政治的、科学的に意義のない性的な行為等、わいせつと考えられるものすべて」にNEAが助成金を出すことを禁止する法律を通します。
政治が芸術から自由な表現を奪う、というのはシャーマンを含むアメリカのアーティストたちには大変ショッキングな出来事だったようで、この一連のセックス・ピクチャーズのシリーズもその抗議として発表されていたものなのですが、プロテストとしてだけなくても非常に興味深い。
というのも、ご覧のとおり、このエログロ写真たちは医療用マネキンを被写体にしたものだから。
無題#264 (1992) 股間に鎮座ましているのは、スチロールで作ったピンク色の女性器。うわぁ・・・と言うのが正解。 |
ご覧のとおり、マネキン達のきわどいポーズはハードコアなポルノをモチーフとしているんですが・・・全くエロくなくてですね。
っていうか、むしろグロい!ほんと、普通にキモいよね!
それと分かる人間の形なのですが、色々な医療用マネキンのパーツをつなぎ合わせて作った人体なので不気味な気持ち悪さがあって、巨大な女性器がドドンとむき出しになっているのにも関わらず、ムフフな雰囲気は皆無です。
変わりにかもし出されているのは、むしろ目をそらしたくなるような俗っぽさ、えげつなさ。
世に出回ってるいわゆるエロ本と同じように、おっぱいと女性器を露出してて、うっふんなポーズを決めるマネキンたち。 違うのは、セックス・ピクチャーズのマネキンは疑いようもなく「作りもの」だってことだけ・・・でも、気持ち悪い。
でも、長く見つめていると「ニセモノ」人間のマネキン達が一生懸命アソコを出してるのが、何となく、滑稽で寂しいのね。
ポルノってなんだろう、世の人がポルノだというものってなんなんだろう、って考えさせられちゃいますな。
これこそが、シャーマンの狙いとするところなんでしょう。
無題#255(1992) 展覧会では直視できない人や、本物の性器を撮ったと思った人もいたらしい。まぁ、責められんな。 |
さ、今回はペニス出てこなかったね!(満面の笑顔で)
そのうちアダルト指定されちゃうかしら・・・?