ゾンビやらなんやら、まがまがしい装いの若者たちが奇声を上げながら練り歩く様子がテレビで伝えられています。
これも一種の「地獄絵図」かと思っていたら、ぴったりの絵を思いつきましたよ。
15世紀後半から活躍したネーデルランドの画家、ヒエロニムス・ボス(1450頃ー1516)の代表作、「快楽の園」です。
![]() |
1490~1510頃 プラド美術館 |
ボスが多く制作した3連祭壇画の一つですが、現在はスペインの美術館にあります。
よく知られた作品なので、どこかで見たことのある方も多いかもしれません。
この3つのパネルのうち、一番有名なのは右の「地獄」の図です。
このモンスターのオンパレード!
また、恐ろしいんだけど大変ユニークな拷問がそこらじゅうで行われています。
ここまで見ると、
「確かにグロきも面白いんだけど、ちょっとエロが足りないよね」
と思った方、大丈夫です。
アナルプレイの絵を入れておきました。(さらりと!)
![]() |
うん、花を植えてますね |
これは中央のパネルの前景※にいる人物なのですが、
(※前、中央、後ろと絵画空間を区切った時の一番手前の空間)
はー?? 何これ何してんの?! となる方のために説明します。
つーか、これを見て「あー、花でアナルプレイね、なるほどー」ってなる人の方が少ないよね。
「快楽の園」は3連パネルですが、パネルを閉じた状態の扉の裏側の絵も含め、4つの図が描かれています。
パネルの裏側には、旧約聖書の一番最初にある創世記から、ユダヤ教・キリスト教の天地創造の物語が描かれ、
左側のパネルは同じく創世記から、神がエデンの園で最初の人間アダムにその妻のエバ(イブ)を与えており、
中央のパネルが、作品のタイトルになっている「快楽の園」で、裸の男女が動物や果物と戯れている様子が描写され、
右側のパネルでは、真ん中の図で「キリスト教的に罪深い、いけない」とされていた行動に対する結末として、地獄が描かれています。
ちなみに地獄の背景は当時のネーデルランドですね。水車や橋が見えます。
ボスの生きた時代のちょっと先に地獄があるってことでしょうか。
作品が作られた当時は北部ルネサンス期の前期にあたりますが、キリスト教と絵画は以前として深くつながっており、特に宗教的なモラルを説く作品も多く作成されました。
中央の「快楽の園」が具体的に何を指しているのかは所説ありますが、聖書の教えとは真逆の、肉体的な悦楽にふける人間たちを指しているのは間違いないと。
聖書から離れた肉体的な快楽・罪と言えば、代表的なものが男色、つまり生殖を伴わない男性同士の性行為です。
ボスの生きた中世でも、キリスト教以前の古代ギリシャ・ローマで男色が行われていたことは広く知られていましたし、聖書にも男色(アナルセックス)や獣姦が行われる堕落した街としてソドムとゴモラという場所が登場します。
当時の意識では、性の罪の代表的なものだったのでしょう。
![]() |
もちろん獣姦を思わせるものもあります。鳥にケツ掘られる。 |
この中央パネルで面白いのは、直接的なセックスは描かれておらず、なんとなーくエロをにおわせるような行動のみが見られることです。
アナルプレイも、はっきりしたものはここ一か所だけ、それ以外はキスとか軽いおさわりくらい。
やたらお尻を突き出した感じのポーズはたくさん見られますが。
キャッキャウフフ、ケツプリ。 みたいな。
あ、あと地獄のほうには、ケツに笛や矢をぶっ刺されてる人がいますね。
花を挿したり挿されたりしてるのは楽しそうでしたが、こっちは苦痛そうだ!
![]() |
尻で笛を奏でさせられるという拷問 |
![]() |
明らかに矢が刺さっている |
ボスの狙いだったはずですが、これはいわゆる宗教画というより、エンターテイメント要素が強い絵ですね。
発表されてから大人気になった理由もよくわかります。
英語ですが、こちらのサイトですごく良い高画質の画像が見られます。
とにかく細かく、いろんなことが起こっている絵なので、ぜひ見てみてください。
面白いですよー!
https://tuinderlusten-jheronimusbosch.ntr.nl/en
ウォーリーを探せのエログロ版!
