さて、予告したからには頑張って書きますよ。
大分遅くなったけど!(言わない約束!)
今回は、おなじみニッポンの現代美術家、村上 隆の
「マイ・ロンサム・カウボーイ」(1998)です。
わわわ、なんだいきなり!
とお思いの方も多いでしょうなあ。
これは見たまんま、ナニから大量の精液を噴射している少年です。
勢いもすごいらしく、精液が宙に浮いて、頭上で輪を描いていますな。
このザーメンがラッソー(投げ縄)になっているのでカウボーイ、というわけです。
この時代の村上作品には、こういうアニメキャラっぽいものが多いのですが、
これも、明らかにフィギュアをモチーフにしていますね。
ただ、卓上サイズのフィギュアと大きく違うのは、
このカウボーイ少年、等身大なんです。
写真で見ていた彫刻や絵画を美術館で実際に見て、
その思いがけない大きさに圧倒された経験を持つ方は多いかと思いますが、
「大きい」というのは、それだけでインパクトがあるものです。
普通の人間と同じ大きさのある彫刻が、
素っ裸で勃起したナニを握り締めていて、更にすごいもんを空中に噴出していたら
これやり過ぎ!と大抵の方はギョッとするを通り越してウエッと感じるかと。
しかも、このデフォルメされたアニメ系の外見は、いかにも「俗」というオーラを発しております。
美術館で見る、あるいは美術の教科書にある作品たちとはあまりにかけ離れていて、アートとはどうも言いがたい。
しかし!
この彫刻の禍々しさに気を取られて、皆さんお忘れかと思いますが、
裸の若い男というのは、西洋美術史の伝統でありますよ!
その証拠に
古代ギリシャから
ミケランジェロから
ロダンまで、みんな裸の男の彫刻です。
美術館に一歩足を踏み入れてみれば、そこら中ハダカだらけです。
彫刻も絵の中にも、ハダカのオトコ(とオンナ)がそこかしこに溢れています。 でしょ?
村上のカウボーイ少年も、西洋美術史にのっとった、れっきとした男性ヌードだと言えますね。
「ええー、言えない! こんなのちゃんとしたヌードじゃない!美術じゃない!」
って思った方は、もうこの作品の術にはまってしまっています。
西洋美術史のミケランジェロやロダンの男性ヌードは、アニメのフィギュアみたいな体つきじゃないし、
ナニを手でしごいて体液を放出したりしてはいないけど、でも、
・・・あんな人間もいないですよね。
筋肉隆々で、バランスが取れた理想的な人体、でも見る人がドキッとするような部分、
具体的に言うと男性器はかなりひっそりとしてます。
「生」は描かれてるけど、「性」は主張しない。
その辺、村上カウボーイは誇張された「性」のカタマリで、限りなく「生」ではない人間のカタチ。
生身の人間からはかけ離れた、アニメキャラの細い手足、でっかい目、ツンツンの髪。
勃起した男性器に超人的な勢いの精液。
いびつに歪んだ、人間というもののデフォルメだと思います。
みらんは女性で、あんまりエロ本とかエロゲームとは縁の無い生活をしておりますが、
・・・たまに見かけると、すごいじゃないですか。
ちょwwこんなのwww無いwwww っていう、それこそ、このカウボーイ君みたいな絶倫キャラ出てきますよね。
日本の(アニメのものを含む)ポルノってのは海外では有名らしいし、
現実にはいないけれど、ポップカルチャーを一枚めくれば、そこらに溢れ返っているようなオトコのプロトタイプ
ってことじゃないでしょうかね。
いわゆる正統派の「美術館系」男性ヌードは、確かに実際の人体により近く形どられているかもしれないけど、
人間が本来持っている性的な要素がほとんど排除されているのは事実。
現在私たちの住んでいる性が氾濫した世界というのは、意外とあのザーメンブシュー!っていう彫刻のほうが
より良く表現しているんではないかい?
って問いかけられているように思うのです。 してないよ!とは言い切れないなと。
ちょっと力が入りすぎちゃったので、今回はこの辺で!
しかし大量に放出しておりますな!
2 件のコメント:
はじめまして、こんにちは。
「芸術起業論」を読んで、面白かったのでウェブで検索していたらたどり着きました。私もウエッと思うのですが、確かに西洋美術の男性の等身大彫刻と思えば、納得も(少し)いきますね。多分、見た目の気持ち悪さだけではない、村上氏ならではの言いたいことががたくさんつまった作品なのだと思います。
コメントありがとうございます。 今の今まで全く気付きませんで、大変申し訳ありませんでした!
多分、このブログに辿り着く方の8割が、この彫刻の検索でいらっしゃっていると思います。 色んな意味で気になる作品ということでしょうか。
気持ち悪!と思わせるのが狙いなんでしょうね、恐らく。
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