2009年1月11日

アートと政治、戦争の関係

週末エッセンに小旅行に行ってきました。いい絵を沢山見たので、そのときの事をアップしようと思ったのですが、ガザのニュースを見て気が変わりました。

何故みんなが平和に暮らせないの?とナイーブな事を言うつもりはありません。


だけど人間の命が、民間人の命がこんな風に失われていいはずがない。


以前紹介したタニア・オストイッチがインタビューで語った言葉を思い出しました。

「作品を見る人にどういった反応を引き起こしたいと思いますか?」という質問に対しての返答は、

「思考回路を刺激して、その人が今までに考えたこと、経験したこと、もしくは意識したことがなかった何かを認知して欲しいのです。経験上言える事ですが、アートでは社会的・政治的な現実をすぐに変える事は出来ません。しかしアートが非政治的でないという事は重要なのです。アートは時にある種の疑問を投げかけますし、現在主流となっている風潮とは違う価値観を提供する事も出来るのですから」というものでした。

美術に携わって生きていこうと決めた頃、胸に刻んだ言葉です。

自分に出来ること何もはないから、というのは無関心でいる理由にはならない、そう思います。

今回紹介するのはドイツ人アーティスト、バーバラ・ハラリ(1979-)のショート・フィルム、「より良い世界のために」2006年

アメリカの中東での戦争をテーマにした作品で、ヨーロッパではいくつも賞を取りました。

「メディアに出る戦争の写真はほとんど感情に訴えることがありません。頭に浮かぶのは『状況の描写』という言葉だけです。このフィルムはその言葉を観念的な映像とし、自分自信をその状況に置いてみようという試みで作りました。戦争というものが一人の人間にとって意味する事とは何なのでしょう」-ウェブサイトより


ドローイングを連続して撮影したトリック・フィルムですが、非常にショッキングでグラフィックな絵が含まれています。リンクを張っておきますが、見て気分の悪くなる方もいるかもしれません、十分注意してくださいね。

For a Better World, Barbara Hlali, 2006 (部分)

ガザの犠牲者の冥福を祈りながら。一刻も早く殺戮が終わりますように。




次回はエロスに戻ろうか
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